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はじめに
国際学会発表は,研究成果を国際的に発信する第一歩である。本稿では,筆者が長年大阪大学で取り組んできた,大学院生における研究成果の国際的な発信能力育成に向けた取り組みを紹介する。具体的には,アジアの看護系大学のランキング,アジアにおける看護の博士後期課程の状況や看護教員の評価,大阪大学における国際学会発表奨励の取り組み,講座における研究力強化,研究室における国際力育成の取り組みである。
本稿は,昨年11月に日本看護系大学協議会(JANPU)の国際交流推進委員会企画により開催された研修会「スマートな国際学会発表を目指して」における発表をベースにしている。当日に筆者が,アジア諸国の博士課程の修了基準は日本よりかなり高く,このままでは日本は遅れをとってしまうことを話すと,聴衆の方から,それは厳しい意見だとのコメントがあった。しかし,アジア諸国を中心とするEAFONS(East Asian Forum of Nursing Scholars;東アジア看護学研究者フォーラム)などの学会に参加すると,アジアの看護系大学院の修了要件は日本よりも厳しいことを痛感する。加えて,オーストラリアにおいて,システマティックレビューを推進する研究機関であるJoanna Briggs Institute(JBI)の日本支部として大阪大学にJapan Centre for Evidence Based Practiceを立ち上げたことで,海外の看護大学教員との交流が一層深まり,日本の看護学教育や看護研究について諸外国と比較する機会が増えた。そこで,まずはアジアの看護系大学のランキングを例に,日本との相違を検討してみたい。
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