特集 看護学における事例研究法の進化─質的記述的事例研究法の可能性
質的記述的事例研究の実際2
スティグマにより自尊感情の低下した糖尿病患者の自己コントロール感を取り戻す看護
伊波 早苗
1
1草津総合病院看護部
pp.235-241
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201511
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緒言
スティグマの語源は「恥もしくは不信用の印」という意味で,何かを決めつけられて失格者やだめな人と決定づけられ,烙印を押される状態を意味している。糖尿病という病気は,ともすると,自らの食生活などの摂生の不足が招いたものとして,食事や運動などの自己管理を怠っただめな人というレッテルを張られ,自業自得であるとスティグマが付与されてしまう。
一方,スティグマには,「感じるスティグマ」と呼ばれる内在的なものがあり,「予期するものを感じるスティグマ」と「内面的なものを感じるセルフ・スティグマ」が含まれている(塚本,2010)。内在的スティグマは,ステレオタイプ的な疾患のイメージを患者自身がもつことで,自尊感情を低下させることにつながる。スティグマは他者からみられている自己評価を下げ,自己への感情と評価を下げる。その結果,自尊感情が低下するとされている(土屋,2012;塚本,2010)。
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