特集 —自信がもてるようになる!—エビデンスに基づく「糖尿病診療」大全—新薬からトピックスまで
【Ⅲ章】知っておきたい! NEWトピックス
❶2型糖尿病と「スティグマ」
加藤 明日香
1
1東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 保健社会行動学分野
キーワード:
2型糖尿病
,
スティグマの内在化
,
self-stigma
,
自己管理行動
Keyword:
2型糖尿病
,
スティグマの内在化
,
self-stigma
,
自己管理行動
pp.329-331
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204213
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米国の社会学者Goffman1)は、スティグマとは「属性・特性・障がいなどが“通常”の人々とは区別され、容認しがたい存在として特徴づけられること」(1963)と定義した。ここで言う属性・特性・障がいは疾患に限定されず、性別・年齢・人種・宗教・学歴といったさまざまな属性も含まれる1)。疾患がスティグマの対象とされやすいかどうかは、それがどの程度可視的かによる1)。さらに、本人の責任が問われるような疾患、すなわち個人が予防・管理可能であると一般に考えられている疾患は、よりスティグマの対象とされやすい2)。
しばしばスティグマと混同して使用される用語として「偏見」と「差別」があるが、これらは、「ステレオタイプ」とともに、スティグマ化のプロセスの構成要素となる3)。スティグマの対象となる人々について社会に広く行きわたっている固定されたネガティブな見方(ステレオタイプ)が、多くの人々に負の感情反応(偏見)を生み、それが行動的な反応(差別)へとつながっていく3)。
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