特集 看護学における事例研究法の進化─質的記述的事例研究法の可能性
質的記述的事例研究の実際1
透析療法を患者が自律して導入するまでの待つ看護
東 めぐみ
1
1東京都済生会中央病院人材育成センター
pp.228-234
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201510
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はじめに
超高齢社会を迎え,一臓器一疾患の時代から,複数の病気を抱えて療養生活を送る人々が増え,医療の現場は複雑さを増している。病いを得た人々の状態が,急性期から回復期,慢性期へと行きつ戻りつしながら変化するプロセスにおいて,その支援のありようを言語化し,何が行なわれているのかを可視化する試みは,時代とともに生きる人々に看護師がどのように関わっているのかを伝える重要な試みである。
臨床における事例研究は,「臨床現場という文脈で生起する具体的現象を何らかの範疇との関連性において構造化された視点から記述し,全体的あるいは焦点化して検討を行い,何らかの新しいアイデアを抽出するアプローチである」(山本,鶴田編著,2001,p.16)と定義されている。筆者はこの定義を手がかりに,長年行なった看護面談での患者との関わりを事例報告としてまとめた。そのプロセスをここに紹介し,実践を報告するあり方を検討したい。
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