焦点 看護学研究発展の軌跡─研究方法論に着眼して
対象理解に着目した看護学研究方法論の探究
正木 治恵
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1千葉大学大学院看護学研究科老人看護学教育研究分野
キーワード:
対象理解
,
看護学研究方法論
,
質的統合法
,
KJ法
Keyword:
対象理解
,
看護学研究方法論
,
質的統合法
,
KJ法
pp.482-489
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100561
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はじめに
千葉大学大学院看護学研究科老人看護学教育研究分野(以下,本学)では,高齢者の看護に関する研究,ならびに成人・老年期にある慢性疾患を有する人々への看護に関する研究に取り組んでいる。この領域における研究課題への取り組みは,担当教員の異動はあるものの,本学研究科修士課程が設置されて以来30年以上にわたり継続している。
人は関係性のなかでこそ生きられる存在であり,他人の存在はなくてはならないものである。その際,看護職は単なる医療の専門家だけでなく,人として対象にかかわり,相互に影響し合う。老いを生きる高齢者や慢性的な病いをもつ人々の“健康”にかかわるには,なおさらその側面が前面に出る。すなわち,医療的側面のみならず,その人が老いや病いとどのように付き合いながら,豊かに人生を生きていくことができるかという側面である。そこには,看護アセスメントとしての対象理解を越えた,人間学の知識体系に位置づく対象理解がある。
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