特別記事
文化人類学から医療人類学への道,そして質的研究への思い
波平 恵美子
1
1お茶の水女子大学
キーワード:
質的研究
,
医療人類学
,
文化人類学
,
看護研究
Keyword:
質的研究
,
医療人類学
,
文化人類学
,
看護研究
pp.158-164
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201361
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看護学における質的研究についての私見
私自身は医療の専門家ではない。しかし,1970年代後半から医療人類学を研究するようになり,それ以来の経験から看護研究における質的研究の位置づけについて,次のように考えている。
現在,医療の発展は目覚ましく,日本では医療制度は常に見直され,現状により適した方向に向けて整備されようとしている。そのなかで看護は確固とした専門領域として,医療の世界でも社会一般でも認知されている。もはや,「看護師は医師の行なう治療の補助者」という認識はみられない。看護は,専門分化され複雑になった医療現場で,患者を医療の領域へ導き入れつつ,医療行為について服薬行動も含めて理解を深めてもらい,コンプライアンスを高める役割を担っている。同様に,急速に進歩する医療現場において,患者は自分の病気や受けることになる治療について戸惑うことが多く,そうした患者への看護行為の領域は広がり,個々の患者を理解した上で,その患者に最も適した対応をとる必要性が高まってきた。こうして,看護師は高い専門性をもつことが要求されるようになっている。
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