焦点 各学問領域における調査研究の目的と方法
文化人類学における調査研究
原 ひろ子
1
1元:拓殖大学
pp.385-389
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200207
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長期間の調査の始まり
文化人類学の目的は"人間とは何かという質問に答えること",特に"文化を持った生物としての人間の特性を通時間的,通空間的に把握すること"である。通時間的に把握するというのは,生物としての人類が発生する過程から現在および未来を含む長い時間を通じて人間を見るということである。通空間的に把握するというのは,人類の住む地球上至るところでの人間のありようを通して問題を考えるということである。
19〜20世紀の初めまで,ヨーロッパの人類学者たちは"地球上の諸民族に普遍的な歴史"を求めて研究を行なっていた。その際彼らが資料としたものは珍しい土地へ旅行や探検に行って,驚きの目をもってヨーロッパの世界と異なる世界を眺めた人々や商人,宣教師などのように,一定期間ヨーロッパ以外の地に滞在して仕事をした人々の日記・手紙・体験談などであった。
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