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はじめに
本稿では,筆者がEditorial Boardメンバーを務めるがん看護の学術雑誌Cancer Nursingについて,投稿者向けのガイドラインの内容を紹介しながら,査読に関する私見を述べていきたい。Editorial BoardのEditor-in-Chiefは,Children's National Medical Centerの看護研究部門ディレクターのPamela S. Hinds氏である。長らくSt. Jude Children's Hospitalの看護研究部門のディレクターを務められていたHinds氏は,小児・思春期のがんを中心とした心理・看護に関する論文を多くもち,2007年より本誌のEditor-in-Chiefに就任している。本誌は国際誌であるため世界各国から投稿があり,Editorial Boardのメンバー13名の国籍はすべて異なっている。筆者は2008年より査読者を務めており,主たる担当は小児・思春期がんであることを最初におことわりしておく。
Cancer Nursingは隔月刊で,がん看護に関する論文を幅広い内容で網羅している。インパクトファクターは2015年11月現在1.966であり,がん看護系雑誌では上位に位置する。トムソンロイターが運営するScience Watch.comによる学術雑誌のインパクトファクターランキング(http://archive.sciencewatch.com/dr/sci/10/mar28-10_1/2015年11月20日アクセス)では,1981〜2008年のインパクトファクターは10.76であったが,2004〜2008年で急激に低下し3.03となった。筆者が査読メンバーとして指名された当時は1.71となっており,底を打った同誌を立て直すために,Hinds氏がハンティングされたとご本人から伺っている。NatureやScienceが不動の数値を維持しているのと比較して,看護系雑誌のインパクトファクターは,近年の看護の専門分化や学術雑誌の多様化に伴い,低下している。これは,看護という学問がインパクトファクターという単一指標だけでは評価できないことを物語っているといえよう。
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