特集 査読を考える─査読ガイドラインの構築に向けて
論文の査読ガイドライン構築に向けて─誰のためのガイドラインか
萱間 真美
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
キーワード:
Peer Review
,
査読
,
ガイドライン
,
査読者の倫理
,
剽窃
Keyword:
Peer Review
,
査読
,
ガイドライン
,
査読者の倫理
,
剽窃
pp.642-647
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201196
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はじめに
査読は英語ではPeer Reviewという。呼び名や印象は異なるが,査読,Peer Reviewとも作業には変わりがない。私はワインのソムリエの資格をもたないが,査読とワインのテイスティングは似ているのではないかと想像する。まず,論文をざっと読む。流れがいいとか,何かひっかかるというような感覚は,最初の一読が最も頼りになる。私の場合は,少し時間をおいてひっかかる部分を特定するようにしている。時間をおいてその部分をもう一度読むと,ひっかかりが疑問の形にまとまってくる。あとは,文章を整えていく。
文章を整えるときに気をつけているのは,最初に論文のよい点を書くということだ。テーマの重要性,論文の構成,取り組みの誠実さや真摯な態度など。ここで書くことに困らない論文は,多くの場合掲載される。書くことが見つからない論文もある。だが,「本誌を選んでくださってありがとうございます」と必ず書く。雑誌の編集委員長を経験して以来,その思いが強くなった。たくさんの雑誌があるのに,この雑誌に投稿され,査読で出会うことになるのはかなり強い縁だと思うからだ。そして問題点を指摘する文章では,強い言葉で責めるのではなく,具体的にどこがどのように適切でないか,列挙することにとどめる。これも,感情的になってしまったやりとりの結末に責任をとる編集委員長を経験したことによる。
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