特集 査読を考える─査読ガイドラインの構築に向けて
〈英文誌/和文誌の査読から考える〉
投稿者・査読者・編集者の視点から査読ガイドラインの意義を考える
江藤 宏美
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
キーワード:
論文投稿
,
査読
,
投稿規程
,
査読ガイドライン
Keyword:
論文投稿
,
査読
,
投稿規程
,
査読ガイドライン
pp.683-689
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201202
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はじめに
研究成果として作成した論文を公表するにあたっては,適切な学術雑誌を選び,投稿することになる。近年は雑誌も増え,どの雑誌に投稿するかは重要な鍵となる。できるだけ多くの読み手を得るためには,いろいろな議論もあるが,まずは同じ分野の中でインパクトファクターのできるだけ高い雑誌を選択基準の一つとすることになる。ターゲットとする雑誌の投稿規程を確認し,書式を整え,必要項目を準備して投稿する。その後に,査読結果が戻ってくる。査読はほとんどがpeer reviewであり,同じ研究者が,実施された研究の信頼性と結果の意義を審査し,導かれた結果が科学の発展に貢献するものかどうかを見極めることになる。その上で,rejectか,修正を経てacceptか,命運が分かれる。つまり,査読は科学のいかめしい門番として重要な役割を果たしているともいえる。査読の基準はそれぞれの雑誌によって多少異なるが,基本的には研究のオリジナリティ,研究方法の厳密性,そして雑誌の志向の3つが主たるものだと考える。また,論文の査読を支える査読システムのプロセスにも,査読者として関わるとき,ある一定のルールが設けられている。
本稿では,まず投稿者の視点から,海外誌に投稿した事例と実際の査読結果を用いながら,論文査読のポイントやrejectになる理由を中心に考える。次に査読者の視点から,論文を査読する上でチェックすべきポイントなどについて検討する。最後に編集者の視点から,査読システムにおける査読者の役割やルール,そして査読ガイドラインの倫理や基準について考察したい。
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