特集 査読を考える─査読ガイドラインの構築に向けて
扉
萱間 真美
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.640-641
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201195
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「査読」という単語を見て,なんらかの緊張を感じない人はきっといないだろう。査定,審査などのイメージを含む「査」という字には,よい/よくないのように価値を断じる,決めつけるというようなイメージが伴う。査読を依頼される立場からは,その領域の権威として,決定的なことを指摘しなくてはならないというようなプレッシャーがあるように思える。査読は英語ではPeer Reviewという。こちらはPeerという言葉が,投稿者と同じ,研究者仲間として意見を言えばよいというような友好的な意味が感じられる。
査読,Peer Reviewに用いられるガイドラインは,単に査読者の作業のための手順書ではない。その雑誌が,どんな論文を読者に提供したいのかという意思表明であり,どんな視点から論文の採否が検討されるかを著者に開示するためのものでもある。研究不正をどのように捉えており,どのような論文は審査の対象にならないかを具体的に示すことにより,研究不正が起こることを予防する機能ももつ。
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