診療看護師（JNP）の活動がもたらす影響─長崎医療センターでの臨床研修をとおしての成果

はじめに

　長崎県は九州の最西端に位置し，大小594の島を有する全国一の離島県である。その特殊な地理的条件から，本土との医療格差が長年の懸案事項となっている（長崎県，2013）。大釜ら（2010）は，診療看護師（Japanese Nurse Practitioner；以下，JNP）のような役割拡大した医療職の活動場所として，「現在の日本における医師の偏在する医療現場に着眼すべき」と述べており，先行する米国や韓国においても，離島を含むへき地における看護師の役割拡大の意義は大きいとされている（大下，李，草間，2009；草間，林，藤内，2007；草間，2008）。したがって，離島を多く抱える長崎県でのJNPの今後の需要は大きいと予想される。

　長崎県の地域医療の中核を担う長崎医療センター（以下，当院）では，2014年度から4名のJNPの臨床研修の受け入れを開始している。2015年5月現在では，臨床研修を行なっている段階である。現時点で，明らかな成果やエビデンスを示すことはできないが，当院での臨床研修の内容を一部紹介し，当院の看護師や初期研修医に与えている影響を踏まえ，JNPの成長過程や今後の長崎におけるJNPに期待される効果や展望について述べていきたい。