焦点 Burnout
解説
燃えつき現象研究の今日的意義
宗像 恒次
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所社会文化研究室
pp.122-131
発行日 1988年1月15日
Published Date 1988/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200961
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.燃えつき問題の起源
1970年代半ば米国では,医療,福祉の現場に携わる対人専門職,すなわち,医師,看護婦,ソーシャルワーカーなどの間の燃えつき現象が話題にされ始めた。以来,今日まで,大きな社会問題としてさまざまな調査研究がなされてきている。
かつて,1960年代では,burnoutという言葉は,慢性麻薬中毒状態を表わす"burnout" on drugsのように通俗的に用いられていた。しかし,今日用いられる燃えつき(burnout)とは,フロイデンバーガーの命名によるものだが,彼は1960年末から1970年初頭にかけて,社会復帰施設に従事する数か国のボランティアを観察し,若くて理想主義的な彼らが,クライエント以上に疲れて,抑うつ的,無感動的になったり,あるいは罪意識をもったり,妄想的になったり,自分の普段の活動水準を超えるほどの躁状態になって全能感が高まったりなどの状態に注目した。そして,そうした仕事上の諸条件から生じる,身体的,情緒的消耗状態を「燃えつき」と名づけた。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.