連載 2冊の本
「女性たちのバーナウト」—燃えつき症候群/「ナースとストレス」
柴田 芳枝
1
1国立水戸病院属看護学校
pp.860-861
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207493
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今私の机の上には,始めてしまえばほんの少しの時間で終わりそうな仕事が積まれている。でもこの仕事はしぼらく前から尾をひいており,いつまでたっても減らないような予感がするのである。その仕事を前にして,窓の外を見てもいないのにポーッと眺めていたり,書物をめくっていながらも,心の中は脱力感,無力感,いや無能力感とでも表現したほうが当を得ている状態なのだ。
上記に示した私の心身の徴候は長期的なバーナウト症候群のようである。本書で著者は燃えつき症候群について「燃えつきとはエネルギーが弱まり,減少することである。それは自分で課したか,あるいは家族,仕事,友人,恋人,価値体系,または社会などの外部から課せられ過度の要求によって生じる極度の疲労(消耗)であり,それによって人間のエネルギーや対処メカニズム,そして内部蓄積が消耗する。それはストレス過剰に伴う感情の状態で,ついには,人の気力,態度,そして行動に強く影響する」と定義している。私の気力のない行動,無能力感は,燃えつぎ状態の決定的な症状であるように思われる。
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