Japanese
English
焦点 科学性と個別性
解説
看護研究の目標と個人に対する倫理的問題
The Goals of Nursing Research and Ethical Concerns for the Individual
Nancy S. Engel
1
,
黒江 ゆり子
2
1聖路加看護大学
2元:聖路加看護大学
pp.351-366
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200843
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第二次世界大戦から数十年が経った今日,世界のあらゆる地域では工業化が進み,またそれとともに人権の保護に関する問題が表面化してきた。すなわち,Maslowによるニーズのヒエラルキーで考えるのなら,これは,人々の関心が,その日一日をどう生きのびるか,といった基本的ニーズから,正当性などのような,日常性を越えた高次のニーズへと移行したことを意味する(Maslow, 1968)。
看護においては,まず専門職業としての看護の独立を看護婦が主張するようになったが,しかしそれによって看護婦は,専門職業としての活動には責任が伴うという現実に直面しなければならなかった(National Commission on Nursing, 1981, p. 5;Yarling & McElmurry, 1983)。次に,研究の分野では,制度化された調査委員会によって研究計画が厳しく審査されるようになるとともに,資金援助を受けることができるようにもなった。それでもなお,看護研究者は,多くの難問をかかえている。そして,確固たる解決策はいまだに見いだされていない。最良の解決策は見つかっていないが,看護研究者が直面している問題の主なものは明らかにすることができる。そしてその前にまず,米国の研究者の人権への関心を高めるひきがねとなった,人間に対するその名も高い悪行のいくつかを紹介しようと思う。
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