焦点 科学性と個別性
解説
看護における科学性と個別性
中井 久夫
1
1神戸大学医学部精神神経科学
pp.345-350
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200842
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はじめに
大変難しそうな題ですが,こういう題で私に考えを書けと編集の方が言われるのですから,こういう問題についての議論あるいは悩みが看護の世界にあるのだと思います。
私がこれから書こうという唯今,どういう気持ちでいるかをまず申します。大変大きな問題ですから,あまり抽象的な議論に深入りしないこと。これが第一。かといって,はっきりしないことを,さもわかっているもの,決まっているもののように書かないこと。これが第二。実際は,そういうことはできるだけ避けて通りたいと考えています。第三は,自分の考えに基づいて書くこと。ですから,常識的な頭あるいは人生経験があれば,賛成かどうかは別として,理解できるということを目指します。第四は,看護といっても私は医者ですから,看護の身になれといっても無理なので,看護と医者の共通部分が中心になると思います。そして,この題では,その部分は大きいと思います。少なくとも,私の日常参加している精神科医療ではそうです。第五は,やってみなければできるかどうかわかりませんけれども,なるべくやさしく短く書きたいということです。
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