今月のニュース診断
看護・助産研究の倫理—インフォームド・コンセントと個人情報保護
斎藤 有紀子
1
1北里大学医学部 法哲学・生命倫理
pp.558-559
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902438
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疫学研究のガイドライン
今年4月,日本で初めて疫学研究のインフォームド・コンセントに関するガイドラインが公表された。厚生省の研究班(主任研究者:玉腰暁子名古屋大助教授)が2年にわたる検討を重ねたもので,生体試料や診療録(カルテ),行政統計を用いる研究の指針が示されている。
ガイドラインでは,扱う試料/資料の種類に応じて,説明と同意のあり方について指針を示し,「これから情報収集が行なわれる研究」については生体資料・診療情報にかかわらず基本的にインフォームド・コンセントの手続きを必要とし,「過去に集められた生体試料やカルテ情報を用いる研究」については,原則インフォームド・コンセントを必要とするものの,手続きを工夫して,研究の倫理性を保ちつつ個別の手続きを踏まない道を提言している。これは,厚生省に3月に設置された疫学研究に関する専門委員会に提出され,国レベルのガイドライン作りに向けての基礎資料になるという(毎日新聞4月16日「疫学研究,厚生省研究班が指針案:本人の同意厳格化,血液など採取済みも対象」)。
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