誌上講座・4
文化人類学
高橋 統一
1
1東洋大学
pp.24-29
発行日 1969年2月1日
Published Date 1969/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906125
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10.生物としてのヒトの位置
生物としてのヒトは生物進化上どのように位置づけられるのであろうか。人間はサルから進化したのだ,と通俗的にいわれている。そうには違いないが,そう単純にわりきって,すましてしまうわけにはゆかない。厄介でも,ここで少し厳密に整理しておくとしよう。生物学では個々の生物の進化上の地位を定め,他の生物との類縁関係を明らかにするために,比較解剖学・発生学・古生物学・遺伝学・生態学などの知識にもとずいて,下等なものから高等なものへと分化が進んだとして,進化段階を図示している。古生物学者はこれを生物の系統樹とよんでいるが,これによると生物は十二,三の「門」に分けることができ,そのうち最も進化したものの1つが脊椎動物である。これが更に進化の順に従って,魚類・両棲類・爬虫類・哺乳類の4つの「綱」に分れる—鳥類も1つの綱だが,これは爬虫類から哺乳類とは別の方向へ分化したものとされている。そして,4つの網のうちの最後の哺乳類が何本かに枝分れして,その中の一本がいわゆる霊長「目」(類)となる。さて,この霊長目は大別して半猿「類」と猿類とに分けられ,さらに後者が新世界ザル(広鼻類)と旧世界ザル(狭鼻類)に分れる。このうち旧世界ザルは,ヒヒザル科・類人猿科・ヒト科の3つに分けられている。以上の霊長目を表にまとめてみると次のようになっている。
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