誌上講座・2
文化人類学
高橋 統一
1
1東洋大学社会学部
pp.42-45
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906104
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5.民俗学と民族学
文化人類学が文化を研究するといっても,人類文化をすぐひとまとめに考究することなど,とてもできない。現在という時点に限っても,地球上には,まことに多種多様なさまざまな文化が存在する。そして,そうした個々の文化を担っている主体,つまり一つの文化的なまとまりをもつ集団や住民を,普通われわれは民族とよんでいる。民族はいわば,文化共同体である。例えば,われわれ日本人は,日本語を話し,衣食住の生活万般においてかなり特徴のある,いわゆる日本的生活様式を営んでいる。そしてそれは物質的側面だけでなく,ものの感じ方や考え方,生活態度や行動の仕方においても,大きな特徴を示している。
これは明らかに日本文化とよんでよいものである。かくて日本文化は日本民族によって創造され,担われてきたといわざるをえない。日本人=民族は日本諸島に住み,政治的には日本国として一国を形成しているから,われわれの場合は,民族と国民が一致している。つまり,日本は単一民族によって形成されている国家である。
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