焦点 文化人類学的研究方法
座談会
文化人類学的研究方法の活用
波平 恵美子
1
,
田村 やよひ
2
,
南 裕子
3
1九州芸術工科大学
2東京大学大学院博士課程
3聖路加看護大学
pp.146-166
発行日 1990年4月15日
Published Date 1990/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900246
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看護における質的研究の流れ
南 はじめに,どうしてこういう企画になったか,私から話させていただきます。看護学とは何なのかということは,わかっているようでいてわからない部分が非常にあります。1人の人に出会ってその人を理解し,かかわっていくという仕事に必要な知識体系を創っていくわけですので,相手をトータルに見るとか,いろいろな側面から見る必要があるために,看護婦というのは非常に学際的な学問を活用しています。そのために研究方法も,これが看護学の研究方法ですという一本化したものはなくて,研究課題によって使っている方法が違っているという感じです。
看護学の領域において,本当に研究らしい研究を始めたのは,そんなに歴史が長くありません。恐らくアメリカで1960年代ぐらいと思います。日本でも,もちろん,どの時代でも看護婦はこつこつと研究はしていましたけれども,本格的な学問らしい研究というのは,やっぱり同じような年代だと思います。私たちは,最初は自然科学的な研究方法を取り入れました。看護についての考え方あるいは人間についての理解の仕方は,行動科学的な,社会心理的な側面の理解ですけれども,研究方法としては,伝統的な量的な研究を使うということが,今もずっと続いています。
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