焦点 各学問領域における調査研究の目的と方法
教育学における調査研究
山本 恒夫
1
1淑徳大学
pp.390-394
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200208
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はじめに
第二次世界大戦後,さまざまな束縛から解き放たれた教育学は,25年の間に急速な進歩を遂げ,たちまちのうちに専門分化が進んでしまった。たとえば,一口に教育学と言うが,学会だけを数えてみても,日本教育学会をはじめとして教育哲学会,教育史学会,教育社会学会,教育心理学会から,教育行政学会,社会教育学会,産業教育学会に至るまで,計15を数えるに至っている。そして,つい最近,東京教育大学家永教授の教科書裁判でにわかにクローズ-アップされた教育法学を研究する教育法学会まで結成されたほどである。また,学者によっては,これらのうち教育社会学,教育心理学はもはや社会学・心理学の特殊分野だとして教育学からはずし,むしろ教育学の隣接領域に位置づける者さえある。
本来ならばこれらの学問領域を眺望した上で,研究方法論に関する議論を十分検討し,その中から調査研究の部分を取り出して論ずべきなのだが,ここではそのようなせんさくはひとまず差し控えておくことにしたい1)。そして,教育学の領域を幅広くとり,教育事象を取り扱う領域では,調査がどのように行なわれ,発達してきたかという点にしぼって話を進めてみることにしよう。
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