巻頭言
独創的研究を追い求めるな
江上 不二夫
1
1東京大学理学部生物化学教室
pp.1
発行日 1962年2月15日
Published Date 1962/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906215
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本誌に巻頭言を書くようにたのまれたとき,たまたま巻頭言の例として阿南功一さんの「独創的研究とは何か」を読むことができました。巻頭言一頁の中に阿南さんがいおうとされたことがよくつくされているとも思いませんし,またそこに述べられていることにも共鳴するところも少なくないのでありますが,しかし基本的には,その読後の印象と私の考えとはずい分ちがうように思いました。と申しますのは,その文章で,阿南さんは,自分でも独創的な研究をしようと思われ,読者にもそれをすすめておられるように思われるからです。
私は「独創的な研究をしよう」と考えて研究テーマを選んだり,研究を推進したりする態度をむしろいましめたいと思います。
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