特別記事
断片投稿とおすそわけ著者資格―教員評価システムと学位審査制度がおよぼす影響
中木 高夫
1
1天理医療大学医療学部看護学科
キーワード:
断片投稿
,
こま切れ投稿
,
おすそわけ著者資格
,
gift authorship
,
疑わしい研究行動
,
QRP
Keyword:
断片投稿
,
こま切れ投稿
,
おすそわけ著者資格
,
gift authorship
,
疑わしい研究行動
,
QRP
pp.42-50
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100871
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はじめに
私は現在,数種の看護学術雑誌の編集委員長や編集委員の職にある。この職についてもうかなりの年月が経つが,かつてはあまり気にならなかったのに,最近急速に気になりはじめた傾向がある。ひとつは「断片投稿」,すなわち「こま切れ投稿」であり,もうひとつは「おすそわけ著者資格(gift authorship)」と思われる学生と指導教員の共著論文である。
前者はいくつかの雑誌の編集作業にかかわっているところから,著者名や研究目的がどこか頭に引っかかっていて,他の編集委員と情報交換をすることによって,その研究者の研究意図全体が掴めて,断片投稿の疑いを抱くのである。
後者は,論文末に「本論文は○○大学大学院看護学研究科○○○課程に提出した学位論文を加筆訂正したものである」という一文があることでわかることが多い。その大学院のホームページの研究者一覧をみると,第2共著者が指導教員であることが歴然とすることがある。
こうした現象は多くの看護学術雑誌にみられる傾向であるので,許されるべきことなのか,そうでないのか,そのあたりから明確にしなければならないだろう。
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