特集 病院と医師の教育研修
臨床医師研修と学位制度
伊賀 六一
1
,
石飛 幸三
2
,
大田 浩右
3
,
滝沢 貴昭
3
,
佐藤 昇樹
3
,
高橋 一則
3
Rokuichi IGA
1
,
Kohzou ISHITOBI
2
,
Kohsuke OHTA
3
,
Takaaki TAKIZAWA
3
,
Shoju SATO
3
,
Kazunori TAKAHASHI
3
1東京都済生会中央病院
2東京都済生会中央病院外科
3特定医療法人大田記念病院
pp.1048-1053
発行日 1989年10月1日
Published Date 1989/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209706
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新しい価値観への転換
医学・医療の専門分化が進む中で,臨床医学研究と臨床技術の習熟とは,質的に二律背反の性格を持ち,臨床を目指す多くの若い医師は,高度化する医療技術に追いつくため卒後臨床研修に専念しなければならないという焦りに駆られながら,一方では学位制度があり,それによって将来の就職にも関係する以上,肩書取りのための教室生活を送っているものも少なくない.
臨床分野において,「優れた研究者」が必ずしも「優れた臨床医」とは限らないことは,多言を要しないであろう.しかし,実際には学位が臨床医としての社会的評価につながると考える人も多い.事実,大学附属病院で臨床研修の片手間に学位を取るものが,大学院による課程博士よりはるかに多いのが現状である.このことは研修医制度の立場からも,問題点として洗い直す必要があろう.
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