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研究の経緯
病院に勤務する看護師の業務は,医療技術の進歩とともに年々複雑かつ多様化している。看護師の業務とされている「療養上の世話」ならびに「診療の補助」の遂行に際して,患者の安全を保つことは当然のことながら,効率性も求められている。つまり看護師は,いかに的確に,かつ迅速に看護ケアを提供するかが求められているわけである。そのためには,看護師はより洗練された看護技術を習得する必要がある。
看護技術教育は,基礎教育においては学内における講義および演習,さらに臨地実習において,対象者に看護ケアを提供することで学生各自が習得するプログラムが組まれている。しかしながら,基礎教育における技術教育は,それぞれの技術項目について教授するのが1回程度で,学生は1つの看護技術に対して学内演習で1,2回練習する程度である。もちろん,臨地実習の前には,学生の看護技術習得を強化するために特別演習時間などを設けて,教員が学生に指導することも実施されている。しかし,そのような強化策をとっても,臨地実習において学生が基礎的な看護技術をすべて実施できるとはかぎらない。さらに,急性期の病院では入院患者の重症度が高く,学生が直接患者に実施できる看護技術はかなり限定されているのが現状である。これは,在院日数短縮により,患者は短い間に重点的な看護ケアを必要とし,しかもそのニーズが低くなるとすぐ退院してしまう状況によるものである。例えば,胃の切除術を受ける患者の場合,以前であれば,手術予定日の数日前から患者は入院しており,術後も食事摂取状態がほぼ通常に戻ってから退院するのが常であった。入院期間として2~3週間を要し,翌日から仕事に復帰できるくらいまで回復してから退院していた。しかしいまは,手術前日に入院し,術後も合併症がなければ3,4日で退院である。したがって,現在入院している患者は,重点的な治療を必要とし,看護ケアニーズの高い患者が大半となっているのである。
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