焦点 C.T. Beck氏の研究から考える 看護における研究と方法
量的研究と質的研究
看護における質的研究方法の現在―進化の観点を踏まえて:Margaret Newmanの「ニューマン・プラクシス」を中心に
遠藤 惠美子
1
1武蔵野大学看護学部
キーワード:
看護学
,
質的研究方法
,
Margaret Newman
,
看護のパラダイム
,
看護プラクシス
Keyword:
看護学
,
質的研究方法
,
Margaret Newman
,
看護のパラダイム
,
看護プラクシス
pp.407-417
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100548
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はじめに
本稿のテーマは,質的研究方法についてである。一口に質的研究といっても,その範囲は広い。複雑に関連し合う諸学問が集まって1つの固有な研究領域をなしているが,それぞれに視点があり,研究方法がある。しかもそれぞれが多様性と複雑性を増しながら進化を続けており,これからさらにどのように進化していくのか定かではない。本稿を執筆するにあたり,幾冊かの本を読み直してみた。まさに,多様性と複雑性を増しながら,戻ることなく定方向に進化を続けるという,Martha Rogers(1970)の「統一体としての人間の科学(the science of unitary human beings)」の観を抱いた。この大物を前にしていまさらながら当惑している次第であるが,ここでは質的研究方法について,まず量的研究方法との比較による科学哲学的な意味,ならびに看護学における質的研究方法の現状の概略をおさえる。次いで,質的研究方法の進化のプロセスの先端を走るものと筆者が考えているMargaret Newman(1986/1994)の「拡張する意識としての健康(health as expanding consciousness)」の理論に基づく看護プラクシス(nursing praxis)について述べ,さらなる進化の可能性について考察することで,筆者の任を果たしたい。
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