焦点 現象学的研究における「方法」を問う
「痛み」の理解はいかに実践されるか―急性期看護場面の現象学的記述
西村 ユミ
1
,
前田 泰樹
2
1大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
2東海大学総合教育センター
キーワード:
痛みの理解
,
看護実践
,
現象学的記述
Keyword:
痛みの理解
,
看護実践
,
現象学的記述
pp.63-75
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100491
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第1節
フィールドワークという方法
医療現場において看護師たちは,患者や療養者の援助を多様なスタイルで行なっている。とりわけ,24時間にわたる援助を要する患者の場合は,複数の看護師が交代をしながら,その人の命や生活を引き受けることになる。いわゆる総合病院の病棟では,複数の入院患者を複数の看護師が交代して引き継ぎながら,また同じ勤務時間帯では互いに相談や報告をしながら協働実践を行なっているのである。この実践がいかに成り立っているのか,そこでの相互行為がいかに遂行されているのかに関心をもって,私たちは過去3年間にわたって,中部地区にある総合病院でフィールドワークを行なってきた註1。
調査当初,この総合病院は12病棟500余の病床をもち,500余名の看護職が配置されていた。調査に入ったのは,呼吸器・循環器内科病棟である。毎年1~2週間,この病棟に入って集中的に調査を実施し,また不定期に,個別のインタビューを行なったり,病院の研修を見せてもらったりした。集中的な調査中は病院の近くに宿泊し,主に日勤帯の実践を参加観察した註2。
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