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はじめに
前稿にて簡単に解説したTRIP(translating research into practice intervention)介入モデルは,EBP実行を促進するモデルの1つとして,Rogers(1995)の「イノベーション(技術革新)の普及」に関する研究に基づいてTitler & Everett(2001)によって開発された。Titlerらは,ヘルスケア領域におけるイノベーションとしてEBPを捉え,当初は急性期ケアでのEBP採用を促進するためのTRモデル(translational research model)としてこのモデルを打ち立てた。一方でこのモデルは,多面的な(multifaceted)TRIP介入の効果を検証するための概念枠組みを提供していることから,ここではTRIP介入モデルと称したい。
このTRIP介入モデルは,2001年に発表されたのち,さらに新たな研究成果や知見が加えられてモデルの一部や構成要素の説明が改編されている。そこで2001年のオリジナルのモデルを基本としつつ,その後発表されたTRIP介入モデルに関する論文(Titler, 2007 ; Titler, 2008)で示されたモデルの内容や解説を総括しながら,筆者なりにまとめ直して紹介することとする。したがって,本稿で提示している図と文章の著作権はTitler氏にあることを明示しておきたい。さらに,TRIP介入モデルの詳細な内容とこのモデル構築の基盤となっている数多くの文献レビューの部分に関しては,それぞれの原文にあたって確認していただきたい。
またこのTRIP介入モデルを活用して,大腿骨頸部骨折の高齢患者に対する急性疼痛マネジメント介入の効果検証が行なわれているので,この実際例について効果検証の結果も紹介する。
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