焦点 アリゾナ大学大学院博士課程におけるオンライン教育の実際
アリゾナ大学大学院博士課程におけるオンライン教育の学習プロセス①
林 さとみ
1,2
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科
2College of Nursing, The University of Arizona, USA
キーワード:
アリゾナ大学大学院博士課程
,
オンライン教育
,
学習のプロセス
Keyword:
アリゾナ大学大学院博士課程
,
オンライン教育
,
学習のプロセス
pp.279-291
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100318
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はじめに
米国では,看護師不足という問題が,ヘルスサービスの質の低下に関わる深刻な問題であると認識されている(Unruh, 2008)。
この問題は,看護師の不適切な配置や過剰な労働負荷,患者満足度の低下,医療事故の増加,再入院の増加,看護師の仕事満足度の低下,離職率の増加,医療費支出の増加,医療保険収入の低下など,ヘルスサービスに関するさまざまな問題との関係性が,多くの報告によって示唆されている。
過去20~30年で,米国の看護学博士課程は増えてきている一方,現在,看護学博士課程で教鞭をとっている教員の平均年齢は53.3歳であり,若い研究者の増加が求められるところである。1990年代初頭は,博士の学位をもつ大学・大学院教員は,50歳以上が50.7%,50歳以下が49.3%と拮抗していた。しかしその後10年の間に,50歳以上の教員が占める割合は70.3%へ上昇し,定年退職までの時間も残り少なくなってきている(Berlin & Sechrist, 2002)。教育の質を保ちつつ,かつ,看護師不足の問題を解決し,ヘルスサービスの質を保証するためにも,看護大学・大学院において博士課程を修了した若い研究者,教育者に対する需要は,なおも高い。そのような研究者を,どのような教育によって,いかに増やしていくかが課題であるといえよう。
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