連載 眠りの科学・6【最終回】
睡眠と記憶とQOL―学業成績と健康生活
田中 秀樹
1
,
玉置 應子
2,3
1広島国際大学心理科学部臨床心理学科精神生理学研究室
2日本学術振興会
3広島大学
pp.641-648
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100287
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
睡眠は健康の源,回復機能に加え,能力発揮の観点からも重要な意味をもっています。最近の多くの研究で,睡眠中に,日中あるいは就床前の覚醒時に得られた情報の再処理や記憶の定着が行なわれていることが報告されています(Gais & Born, 2006;Stickgold, 2004;Walker et al., 2002)。日常生活を行なう上では,知識や出来事に関する記憶のみならず,運動や作業手順技能など身体が覚えている記憶もとても重要です。記憶の問題は,教育現場や高齢者を取り巻く地域社会でも,関心が高いトピックスです。
最終回の今回は,現代の日本人の眠り,生活習慣を振り返る契機となるよう,能力発揮,生活習慣病予防の観点を交えて,睡眠と健康生活について再考したいと思います。特に,今後の研究の一助となるよう記憶と睡眠の関係の現状や未解決な論点や方法論を交えて紹介します。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.