焦点 予防看護学研究の進展
乳幼児における言語発達障害予防の看護研究
林 知里
1
1千里金蘭大学看護学部設置準備室
キーワード:
ことばの発達
,
双生児の親密性
,
twin language
Keyword:
ことばの発達
,
双生児の親密性
,
twin language
pp.523-531
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100272
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はじめに
乳幼児期に言語発達の遅れがみられた場合,難聴や自閉症,発声器官等の麻痺,口蓋裂,精神発達障害などがある場合を除き,医療・保健的介入がなくともその子なりのペースで発達していくケースが多い。しかし,乳幼児期の言語発達の遅れが学童期以降の児に与える影響については,いまだ明らかにされていない部分が多いのが現状である。
最近の研究では,乳幼児期におけることばと社会性の発達との関連が注目されている。ヒトにおいて,社会性の発達はコミュニケーションを通して習得されると考えられているため,言語発達の遅れは人間関係や社会性の発達の障害となる可能性がある。
Prutting(1992)は,言語はそれ単独で発達するが,言語を学び,使用する社会的文脈に大きく左右されると報告している。また,Fujiki & Brinton(1994)は,社会性の発達とコミュニケーション能力は密接に関係しており,言語障害と社会─情緒的行動との間には強い相関があると報告している。
言語発達の遅速の差に関係する要因としては,第1に性差が挙げられる。一般に,男児は女児よりも言語の習得が遅いといわれている。また,第1子よりも第2子,第3子といったように,きょうだいのなかで年下の子ほど言語発達が遅くなるといわれている。さらに,双生児は単胎児と比べて言語発達が遅いとの報告がある。我々は,これまで,この双生児にみられる言語発達の遅れに注目し,研究を行なってきた。本稿では,双生児における言語発達の研究成果から,乳幼児における言語発達障害予防の必要性とその可能性について考察する。
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