特集 スタンダードとしての母乳育児を科学的・効果的に援助するために(上)
母乳育児に関する乳幼児の発達
本郷 寛子
pp.484-490
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902893
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母乳育児の利点を語るとき「研究によれば,母乳で育てられた子どもは人工乳で育てられた子どもに比べて心身の発達がよく,しかも長く続けるほど利点がある1,2,3)」という人工乳を基準にした表現を用いることが多い。しかし,よく考えれば,母乳育児のほうがむしろスタンダードであるという理解が乏しい表現であるといえる。そのため母乳で育てられた児の当り前な心理的社会的な発達段階への無理解が生じ,人工乳で育てられた子どもと違う面があると「問題行動」として受け取られてしまう場合もある。
一般的な乳幼児の心理的社会的発達に関する書物は多いが,その中で特に母乳育児を続けている乳幼児に焦点をあてている書物はほとんどない。本稿では,母乳育児に関連した乳幼児の心理的社会的発達についてまとめてみたい。
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