特集 災害被災地におけるプライマリ・ケア
被災した医師としての経験
阪神・淡路大震災
惠美 裕一郎
1
1めぐみ外科胃腸科
キーワード:
情報管理
,
ホットライン
Keyword:
情報管理
,
ホットライン
pp.654-655
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100131
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泥状化したまちの風景
阪神・淡路大震災当時,ポートアイランド内にある私の診療所は,神戸市立中央市民病院の東方約300 m,ポートライナー北埠頭駅に続く北埠頭ビルの3階にありました.職住近隣をモットーとする私は,自宅もポートアイランド内のマンションでした.震災直後,足の踏み場もなくなった自宅の室内を片付けた後,あの大きな揺れで倒壊した建物はないか,けがをした方もいるのではないかと心配になり,診療所に向かいました.
ポートアイランドのなかでは泥田のような液状化がみられましたが,人影もなく倒壊した建物もなくホッとしたものでした.しかし診療所が入っている北埠頭ビルは少し傾いて,玄関もロックされており,管理人も来ていないのでなかに入ることができません.そのため自院での救急診療はできないと判断しました.
その後,何かのお役に立つことができるのではないかと,神戸市立市民病院に向かいました.ここも泥状化のなかにあり,少なくとも病院救急外来はひっそり静まり返っていました.救急車や患者さんが来院する様子もないので,ここでのお手伝いも必要ないだろうと諦めました.
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