特集 災害と病院
【災害発生~そのとき現場は】
阪神・淡路大震災の教訓
澤田 勝寛
1
1特定医療法人慈恵会 新須磨病院
キーワード:
阪神・淡路大震災
,
ライフライン
,
リスクマネジメント
Keyword:
阪神・淡路大震災
,
ライフライン
,
リスクマネジメント
pp.426-431
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101705
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平成7年1月17日午前5時46分,突然大きな地響きとともに,大地震が阪神淡路を襲った.マグニチュード7.2の直下型地震.死者6,434人,負傷者約4万3,000人,倒損壊家屋25万棟以上という,戦後最大の大災害となった.直接・間接的に多くの市民が様々な被害を被り,子どもや肉親を失った悲しみ,住み慣れた家が倒壊もしくは焼失した辛さ,長期間の避難所生活の苦しみ,それこそ筆舌に尽くしがたい苦難があった.
そして,15年が経った.折に触れて,家族や病院職員とも地震の話をするが,その回数もめっきり少なくなった.病院の被害は甚大でその復興には心血を注いだつもりであるが,その時の辛さや苦しみはほとんど忘れてしまい,今となっては若干の懐かしさを覚える.このような感覚は,程度の差はあれ,決して私だけのものではないだろう.スタンダールは「思い出の美化作用」と言っているが,「時が経つ」ことの副次的なこの作用に感謝せずにはいられない.
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