焦点 看護学教育における方法論の探求と研究的視座
看護学における教育デザイン開発の研究的意義
櫻井 利江
1
,
浅野 美礼
1
,
川口 孝泰
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
キーワード:
看護学教育
,
教育プログラム
,
介入研究
,
教育デザイン
,
評価研究
Keyword:
看護学教育
,
教育プログラム
,
介入研究
,
教育デザイン
,
評価研究
pp.3-10
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100123
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はじめに
新卒看護師の看護技術の実践能力が問題視されるようになり,数年が経過している。この間,看護教育のあり方を問う議論が重ねられ,報告書がまとめられてきた。数年の間に,問題の萌芽となっていた初期の「技術の身についていないとされる新卒看護師」たちは,すでに臨床現場では中堅を担っている時期にさしかかっているはずであるが議論に収束をみないのは,次々と入ってくる新卒看護師が同様の傾向を示しているからではないかと想像される。大学教育における看護学教育のあり方や,学士課程における看護実践能力の育成,などが当面の重要課題となっていくであろうことは否めない。
このような看護実践能力が社会のニーズとして問われる現代において,主として看護基本技術教育を担っている基礎看護学領域に期すべきところが年々増大していることは,当該領域を担当している者として日々実感している。技術力不足やアセスメント能力の不足が指摘されており,そのつど,基礎看護学領域は,ことに大学教育において「何を」実施しているのか,という議論にさらされている。各大学で基礎看護学領域を担う教員らは研究的取り組みを通して試行錯誤している状況である。しかし,研究的取り組みの成果として公表されるものには内容の具体を記述できないという限界があるため,成果が実証されたのは,均質な集団だからなのか,教育プログラムの成果なのか,を明らかにできない。この循環を断ち切るためには,教育プログラム評価のための研究を,介入研究,ないしはプログラム評価のための評価研究として位置づけると,問題が把握しやすいと考える。
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