焦点 看護学教育における方法論の探求と研究的視座
扉
川口 孝泰
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学系
pp.2
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100233
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わが国の保健医療を取り巻く環境は大きく変化している。このなかで,看護専門職者には高度な専門知識と,人間の尊厳を基盤とした高い倫理観が求められている。とりわけ看護職の養成には,看護学教育の質の向上が急務で,今後の保健医療を担う看護学生たちが学修する看護基礎教育の在り方が重要な課題として位置づけられている。
これらの動きを受けて,平成4(1992)年に,看護師等の人材確保の促進に関する法律〈http://www.houko.com/00/01/H04/086.HTM〉が施行された直後から,平成3年度の時点では全国で11校だった看護系大学は急速に増え,平成17年度には127校,18年度には139校(国立42校,公立43校,私立54校),大学院修士課程(博士前期課程)が83校,大学院博士課程(博士後期課程)が35校と,教育の大学化が進んでいる。このような教育環境の変化は,看護学教育にとっては,必ずしもよい結果をもたらしたとはいえない。つまり,看護学教育の基盤である,教育方法論や教育的介入が,やっと試行錯誤のなかでデザインされはじめた段階であり,それらの教育がいかに効果的であったかについての研究的視座に立つ検討は未だ少ない。さらに卒業後の継続教育の成果と連動した評価と,それらに基づく研究的な取り組みも,現状ではほとんど行なわれていない。
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