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はじめに
透析医療においても他領域と同様,情報の電子化は進んでおり,日本透析医学会による診療オーダーと諸記録の電子化をめざした「HeMX(ヘムエックス:Hemodialysis Medical Record Exchange Format)」,日機装による透析装置および周辺機器を取り込んだ「フューチャーネット・」,川崎市井田病院などが取り組んでいる透析病院間の病診連携のためのテレメディスンシステム,済生会八幡総合病院などが開発に取り組んでいるCAPD(持続型携帯型腹膜透析)患者用の「CAPDi手帳」などがある。
しかし,これらのほとんどが診療記録やその関連情報を扱っているのみで,看護の視点からの情報は網羅されていない。また,「CAPDi手帳」は患者と情報交換はできるものの,その他の電子機器やプログラムのほとんどは,体重や診療オーダーなどの事実を記録する記憶媒体としての機能が主体である。
一方,透析患者の死因の第1位は心不全であり,水分管理などの自己管理は非常に重要である。そこで,情報交換ツールや記憶媒体としての機能だけではなく,IT(Information Technology)技術を駆使して,自己管理に関する教育機能を有したプログラムを開発できれば,より効果的な自己管理教育が可能になるのではないだろうか。教育機能を有した電子化プログラムが開発されれば,透析患者にとって重要な自己管理の情報が,医療者間ならびに医療者─患者間でも共有可能になることは間違いない。さらに,このプログラムにガイダンス機能をもたせれば,情報の共有化だけではなく,医療者が学習しながら患者教育を行なうことも可能となり,経験の浅い医療者でも一定レベルの患者教育を行なうことができるようになる。また,自己管理教育は看護職にとって重要な役割であるため,自己管理プログラムを開発することは看護職にとっても有効に活用できる情報・教育媒体となり,さらなる看護職の役割の充実となるであろう。
そこで今回,患者にとって自己管理が特に重要な,水分管理,シャント管理,CAPDカテーテル管理の3つを取り上げ,電子化のための自己管理教育プログラムのアルゴリズムを開発した。なお,アルゴリズムの表記とその内容については,図1に示す。
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