特別企画 インタビュー 田倉智之さん
[コラム]保険適用とはどういうことか?—不妊治療の保険適用から1年を振り返って
河合 蘭
pp.476-477
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202199
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革命的なできごと
2023年春,政府がまとめた少子化政策のたたき台に,出産の保険適用を検討することが入った。妊娠・出産の医療については,すでに,不妊治療の保険適用が現実のものとなっている。これが治療現場にどんな影響をもたらしたかを知ることは,分娩関係者にとって大切なことではないだろうか。
不妊治療の保険適用は,不妊治療の専門医やクリニックのスタッフにとって革命的なできごとだった。体外受精はそれまで料金に大きな施設差があり,治療法の違いがあったが,2023年4月1日を期して,全国一律の公定価格による標準診療が始まった。寸前に公示された保険点数は,多くの医師が「予想より低い」と感じる水準にとどまった。患者は従来通りに自費診療を受けるか,保険診療とするかの選択ができるようになったが,私が知る限り,どの施設でも保険診療の希望者が大半を占めた。
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