連載 宝物,教えてください・76
吉村正先生の文章に出会い,生と死の狭間で感謝する
朝比奈 順子
1
1緑診療所
pp.115
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202122
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2022年10月末に私の友人Kさんから「今,吉村先生が朝比奈さんの出産について書いた寄稿文を読んでいるのよ」と電話をもらいました。冊子を取り寄せることが難しかったため,彼女からメールでその文章を送ってもらい,記事を読ませてもらって大変感動しました。1984年9月号の『助産婦雑誌』に掲載されたその記事には,私が40歳で出産した時のことが書かれていました。
胎児心音が悪くなった時,私が「だいじょうぶです」と一言答えた,その時の私の表情や態度を感じ取った吉村先生は,そこから医療的処置を加えることはせず,下駄を私に預けて赤ちゃんの娩出を見守ってくださいました。分娩当時の私がどうして「だいじょうぶ」と言えたのか,それは自分を信じ,赤ちゃんを信じ,魂を信じたからかもしれません。吉村先生の言葉を借りると,それは「宗教的信念」であったかもしれません。
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