学会・研修会印象記
野中 猛先生に感謝する会
朝倉 起己
1
,
苅山 和生
2
1共和病院
2佛教大学
pp.452
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100120
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野中 猛先生は,埼玉県立精神保健総合センターを経て,日本福祉大学等で教鞭をとるかたわら,日本の精神保健医療福祉の発展と普及に重要な役割を担い,OTとのつながりも長い方である.そんな先生へ感謝する会が,大学での野中ゼミ生らの呼びかけにより急遽開催された.1月中旬からの呼びかけで,こころの健康政策構想会議,埼玉精神保健医療関係者等,定員100名という限定にも関わらず,日本の精神医療や福祉を牽引してきたそうそうたるメンバーが参集された.理由は,先生に告知された病気にある.
野中先生は昨年秋ごろから体調を崩され,年末には膵臓がんの診断を受けられた.すでに外科的手術の適応は難しく,抗がん剤治療と療養を余儀なくされ,それ以降の講演や研修会等の活動をすべてご辞退される状況となった.そのような中でも「学部の最終ゼミだけはやり遂げたい」という先生の強い意向もあり,予定通り1月に最終ゼミを行った.先生の病状を知ったOB・OGのゼミ生も全国から集結し,ゼミ内容も特別に先生本人を事例役とした事例検討会であった.「さまざまな事例検討会を行ったが,私が事例役を担うのは初めてだ」と野中先生も目を丸め,また懸命にファシリテートするゼミ生の姿に目を細めながら,時に「もっと家族の情報が必要ですよ」と助言も加えながら,取り組まれた.まさに命がけで最終ゼミを慣行されたのである.
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