特別寄稿
「出産のヒューマニゼーション研究会」の発足に向けて
進 純郎
1
1葛飾赤十字産院
pp.792-797
発行日 2000年9月25日
Published Date 2000/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902486
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?はじめに?
21世紀を来年に控えたミレニアムの本年,日本の周産期医療とケアはこのままで良いのだろうかという疑問を筆者は感じ,周辺の人々に率直に声をかけてみた。すると,出産をどうにかもっと人間的なものにしたいと考えている人がいることがわかった。そして有志一同,完壁なアイディアはないものの,周産期のケア,なかでもまず出産を,もっと産む人中心のものにしようと働きかけることとした。ミレニアムの年を迎えた今,われわれが出産にヒューマニゼーションの息吹を吹き込まなければと考えた所以は,出産の場での「人間性」,「人間化」の回復こそ,人類の未来を変える道と考えたからである。
広辞苑をひもとくと,ヒューマニズムとは「一般に人間尊重,人間解放を基調とする思想・態度。歴史上種々な形態があるが主要なのは次のもの。ルネッサンス期のイタリアに始まる中世的な宗教的世界観からの解放運動(人文主義)。17〜18世紀に英・仏に行なわれた宗教からの徹底的解放を求め,普遍的人間性を求めるもの(市民的ヒューマニズム)。18〜19世紀にドイツに行なわれた古典重視,人間性の調和的発展,人間の自己救済力を説くもの(新ヒューマニズム)。資本主義によって疎外された人間に人間性回復を求めるプロレタリアの運動(社会主義的ヒューマニズム)」と記載されている。
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