特集 出産のヒューマニゼーション—ブラジルJICA家族計画母子保健プロジェクトの経験から
出産のヒューマニゼーション—Projeto Luz(光のプロジェクト)の軌跡と学び
三砂 ちづる
1,2
1前:JICAブラジル家族計画母子保健プロジェクト
2国立公衆衛生院疫学部
pp.289-297
発行日 2001年4月25日
Published Date 2001/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902620
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はじめに
1996年4月から2001年3月にかけて,ブラジル北東部セアラ州(州都フォルタレザ)で行なわれた国際協力事業団ブラジル家族計画母子保健プロジェクト,通称「光のプロジェクト」とは何だったのか。このプロジェクトは何を変えたのか。このプロジェクトから何を学ぶことができるのか。ブラジルの片隅で5年の歳月をかけた「お産のヒューマニゼーション」のプロジェクト。生きる力に満ちたブラジルの人々の,「非人間的なお産の文化」を「変革を通じてのヒューマニゼーションのプロセス」に変えようとする意思。国際協力,という名のもとで,日本のお産の現場にかかわる人たちとともに,“日本人”であるわたしたちにも突きつけられた,「人間的たること」の意味。21世紀にむけて,人の生まれることについて,プロジェクトが模索しつづけてきたことを,さらに,多くの方と分かち合いたい。
このプロジェクトには,2つの特徴がある。ひとつは政府ベース,非政府ベースともに,日本がかかわった国際協力プロジェクトのなかで,初めて「出生と出産」,しかも「助産—Midwifery」を中心においたプロジェクトとなったこと。もうひとつは,いわゆる政府ベースの国際協力プロジェクトとして,高い評価を得たことである。ここではこれら2つの部分に分けて議論しようと思う。
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