特別記事
第1回「出産のヒューマニゼーション研究会」開催記—テーマ/フリースタイル出産を考える
竹内 正人
1
1葛飾赤十字産院産婦人科
pp.145-150
発行日 2001年2月25日
Published Date 2001/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902587
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まずは立ち上がろう
秋も深まり始めた2000年11月12日,東京ウイメンズプラザで,記念すべき第1回「出産のヒューマニゼーション研究会」が開催された。筆者は「研究会」発足のメンバーの一人であり,本稿では会の発足の経緯と当日の報告とともに,今後の会の方向性などについて探っていきたいと思う。
戦後,出産における母児の安全性向上を名目に自宅分娩から施設分娩に移行したが,最近まで医療介入度が高い出産ほど最良であるという考え方を,産婦や,その家族にまで深く浸透させてしまった。出産するのは産婦自身であるにもかかわらず,いつのまにか主役が医療者に代わり,産婦はその主体性を著しく制約され,自らの声をあげられない環境が構築されてしまった。しかし近年,皮肉にも,母児の状況を改善したのは,産科の高度医療ではなく,産婦の栄養状態や,衛生,住環境の改善,抗生物質,輸血などの基本的医療,麻酔技術の向上など,むしろ,その周辺の環境整備であることがわかってきた。ところが,母児の予後が世界最高水準となった現在においても,出産の場では,医療従事者が基軸となり,産む側もそれを受け入れるという構造をなかなか打破できないでいる。
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