海外レポート
セネガルの公立病院における助産師が行う分娩期のケアの観察調査
中村 悦子
1
,
菊地 紘子
1,2
,
千葉 めぐみ
1,3
,
佐藤 眞理
1,3
1JICA(国際協力機構)セネガル母子保健サービス改善プロジェクト
2国立国際医療研究センター 国際医療協力局
3TAC International Inc.
pp.454-459
発行日 2021年6月25日
Published Date 2021/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201820
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緒言
2018年2月,世界保健機関(World Health Organization,以下,WHO)より“ポジティブな出産体験のための分娩期ケア”1)(WHO recommendations:intrapartum care for a positive childbirth experience2),以下,新ガイドライン)が発行された。この新ガイドラインは,1997年に出版された“WHOの59カ条お産のケア実践ガイド”3)に次ぐ新たな分娩期のケアの指針であり,根拠に基づいたケアのみならず,産婦を尊重したケアや情緒的支援についても言及されている。
国際協力機構(Japan International Cooperation Agency,以下,JICA)は,助産ケアの向上を中心に据えた“人間的なお産”4)と称されるプロジェクトを,ブラジルを始めとした南米,アジア,アフリカに及ぶ8カ国で展開してきた。特に,1996年から2001年に実施されたブラジル「光のプロジェクト」は2001年4月号の『助産婦雑誌』5)にも掲載され,助産師諸姉の注目を集めた。
“人間的なお産”はそれまで重視されてこなかった「ケアの質」に先駆的に取り組んだものである。2009年から開始したセネガル母子保健サービス改善プロジェクトでは,女性の「ケアの経験」に注目し,保健医療従事者による「ケアの提供」,住民への啓発,行政との連携といった活動もあわせて「ケアの質」に包括的に取り組むアプローチを取っている。本稿は,2019年に開始した当プロジェクトのフェーズ3*1において実施した,病院における現状分析調査の結果の一部である。
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