連載 NIPTと優生思想をめぐって・5
出生前検査について—医事法学の立場から
鈴木 利廣
1,2
1すずかけ法律事務所
2明治大学
pp.696-700
発行日 2019年8月25日
Published Date 2019/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201336
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はじめに
新型出生前検査(NIPT)は2011年に米国にて臨床に導入され,2013年からは日本でも臨床研究として開始され,昨年からは一般臨床に拡大されたという。そして臨床研究報告によれば,染色体異常についての疑陽性者および羊水検査後の陽性者のうちで妊娠継続者はごくわずかで,多くが選択的人工妊娠中絶に至ったという。
このような選択的人工妊娠中絶に直結する出生前検査の医事法学的問題点を,堕胎の罪と母体保護法上の人工妊娠中絶要件の観点,および胎児診断に関する説明義務違反の裁判例から考察してみたい。
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