連載 スクリーンのなかの助産師 出産シーンあれこれ・11
男性こそ見るべき出産映画(その1)
渡辺 俊雄
pp.952-953
発行日 2015年11月25日
Published Date 2015/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200353
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「9か月」と「愛するための第9章」
日本では妊娠期間を「十月十日」と言うが,欧米では「9か月」と呼ぶのが一般的なようだ。今回紹介する映画は,まずフランスで「愛するための第9章(仏語の原題はNeuf mois=9か月)」(1993年)としてつくられた。そして気に入った題材を見つけると,何でもかんでも自分の国で英語にしてつくり直さないと気がすまないアメリカ映画界が,2年後にヒュー・グラント,ジュリアン・ムーアという人気スターを起用して「9か月(Nine Months)」(1995年)としてリメイクした。
5年越しの恋人であるバレエ・インストラクターと子ども専門の精神科医が自由な同棲生活を送るうちに妊娠が発覚する。意外なことに,実は子どもが嫌いだった精神科医はパニックに陥り,いつまでたっても父親になる決心がつかない。そんな彼に愛想をつかした恋人は,ついに家を出て行ってしまう。そうこうするうちに,男性が「擬似陣痛」を体験することになり,2人の愛の深さを確かめるという,昨今増え続けている大人になりきれない「ピーターパン男」必見のラブ・コメディが「9か月」なのだ。
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