連載 スクリーンのなかの助産師 出産シーンあれこれ・4
映画のなかで描かれた出産シーンに思う
渡辺 俊雄
pp.316-317
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200175
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私たち,団塊の世代が見てきた映画やドラマでは,出産シーンになると,まず産婆さんが呼ばれ,その産婆さんが到着するや否や,「すぐにお湯をわかして!」「男たちはさっさと部屋から出て!」……など,テキパキと指示するのが一般的だった。要するに昔から,お産に関しては男は役立たずで邪魔な存在だったのだろう。映画やドラマのなかでも,ほかに手がなくて仕方なくお産に立ち会った屈強な男が,情けなくも失神するという光景がよく描かれていた。
もっとすごい例もある。先日,北大路欣也主演の東映時代劇「徳川家康」(1965)を見ていたら,家康誕生の場面で,父親である松平広忠が愛妻・於大の方の身を案じて産室近くから声をかけたところ,産婆と思われる世話役の女性から「殿,ここは不浄の場ですぞ。たとえ殿であろうと,殿方が,直接声をかけてはなりませぬ!」と激しく叱責される場面に遭遇した。なるほど,戦国時代はそうだったのか……。
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