連載 スクリーンのなかの助産師 出産シーンあれこれ・10
2つの映画から思う,子どもは誰のものか?
渡辺 俊雄
pp.868-869
発行日 2015年10月25日
Published Date 2015/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200329
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「お世継ぎ誕生」につながる王家の出産は国家の将来を揺るがしかねない重要事項だ。中世のイギリスを舞台に,エリザベス1世の母親となるアン・ブーリンとその妹メアリーの出産が描かれるのが,映画「ブーリン家の姉妹」(2008年)である。
時は16世紀のイングランド。国王としては優れていたものの,少々女癖の悪い英国王ヘンリー8世には男の跡継ぎがいないという悩みがあった。そこに目をつけた野心家の新興貴族トーマス・ブーリンは,一族の富と権力を高めるため,才気煥発で勝気な自慢の娘アン(ナタリー・ポートマン)を差し出すが,皮肉なことに王が目を留めたのは清純で心優しい妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)のほうだった。しかも,彼女はすでに新婚の身だったので,ややこしいことになる。
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