連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・129
早期剝離から11日後の出産
冨田 江里子
1
1バルナバクリニック(フィリピン)
pp.438-439
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200209
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隠し事をしている様子の産婦
産婦は3人目,30歳のジーン。貧困が染みついたような日焼けした身体は痩せてお腹だけが目立っている。ベッドで仰臥位になっているジーンの内股には流血の跡があった。分娩進行に伴う出血とは違うサラサラな薄い血液。ベッドの下に脱ぎ捨てられていた下着も薄い血液でほとんど濡れている。これを見た時にぞわっとした。早期剝離か,低置胎盤辺縁からの出血だろう。
「いつから出血しているの? ずいぶん前からでしょう。転んだり,お腹を強く打ったりしなかった?」と問うたが,ジーンはカッと目を開いて「お昼,陣痛が始まった時からよ」と言い切った。「本当に? 数日前とか,以前もまとまった出血があったでしょう?」「なかったわ!」。
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