連載 災害時の母子保健 妊産婦を守る助産師の役割・14【最終回】
必ず成功する災害時の妊産婦支援マニュアル―東日本大震災の経験から
吉田 穂波
1
1国立保健医療科学院生涯健康研究部
pp.252-256
発行日 2014年3月25日
Published Date 2014/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102744
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本連載のゴールを再考して
東日本大震災は,死者・行方不明者合わせて2万人,被災者11万人にのぼりました。被災者支援においては,子どもや高齢者など社会的弱者に配慮した対策が課題として浮かび上がりましたが,忘れられがちな「弱者」に妊産婦がいました。震災発生から1か月の間に生まれた赤ちゃんは宮城県だけでも1000人以上にのぼります。
世界各国の災害時における報告から,被災地の女性と子どもを死に追いやる原因は出産と性暴力であることが知られています。そのため,被災地避難民のリプロダクティブ・ヘルス(子どもを産み育てること)対策を重視すべきということが提唱されており,国連やWHOの災害支援ハンドブックには,災害直後にとるべき支援行動指針が示されています。にもかかわらず,東日本大震災後の被災地支援を通して筆者らが直面したのは,妊産婦および新生児に対する災害時の基本的政策あるいは医療支援システムが欠如していたということでした。
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